- 日本のキャッシュレス決済比率と最新の市場規模
- クレジットカード・コード決済など決済手段別の現在地
- キャッシュレス決済比率を見るときの注意点
- 「決済手段の導入」から「業務・データ連携」へ変わりつつある理由
- 企業・団体がこれから確認したいキャッシュレス化のポイント
日本のキャッシュレス決済はどこまで広がった?
経済産業省によると、2025年の日本のキャッシュレス決済額は162.7兆円、キャッシュレス決済比率は58.0%となりました。
政府は、2030年までにキャッシュレス決済比率65%を中間目標とし、将来的には80%を目指しています。
「キャッシュレス決済」という言葉が特別なものだった時期から、現在では日常のさまざまな場面で利用される支払い方法へ変わってきたことが数字からも分かります。
どのキャッシュレス決済が使われている?
2025年のキャッシュレス決済額162.7兆円を決済手段別に見ると、クレジットカードが大きな割合を占めています。
| 決済手段 | 決済額 | キャッシュレス決済額に占める割合 |
|---|---|---|
| クレジットカード | 134.6兆円 | 82.7% |
| コード決済 | 16.6兆円 | 10.2% |
| 電子マネー | 6.0兆円 | 3.7% |
| デビットカード | 5.5兆円 | 3.4% |
金額ベースでは、クレジットカードが8割以上を占めています。
一方、コード決済も16.6兆円まで拡大し、キャッシュレス決済額全体の10.2%を占めています。
「キャッシュレス決済」と一括りにしても、カード、コード決済、電子マネー、デビットカードでは、利用される場面や支払者の体験、事業者側の入金・管理方法が異なります。
そのため、企業・団体がキャッシュレス化を考えるときには、市場全体で何が伸びているかだけでなく、自社・自団体の支払者がどの方法を利用しやすいかを見る必要があります。
「キャッシュレス決済比率58%」の意味には注意が必要
キャッシュレス決済比率を見るときには、数字の定義も理解しておきたいところです。
現在の国内指標では、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済の支払額を合計し、「家計最終消費支出から持ち家の帰属家賃を除いた金額」を分母としてキャッシュレス決済比率を算出しています。
つまり、国内で発生するあらゆる「現金を使わない支払い」が58%という意味ではありません。
銀行振込はこの比率に含まれていない
企業間取引や学校、自治体、各種団体では、銀行振込も非常に多く利用されています。
しかし、経済産業省の現在の国内キャッシュレス決済比率では、銀行振込は分子に含まれていません。
そのため、特にBtoBや公共分野などでは、「キャッシュレス決済比率58%」をそのまま自分たちの決済環境に当てはめることはできません。
過去の「42.8%」とは指標の定義が異なる
2024年のキャッシュレス決済比率として「42.8%」という数字を見たことがある人もいるでしょう。
これは、当時使用されていた国際比較を意識した指標による数値です。
その後、より国内の個人消費の実態に近づけるため指標が見直され、現在は「家計最終消費支出-持ち家の帰属家賃」を分母とする国内指標が政府目標に使われています。
新しい国内指標で計算した2024年実績は51.7%です。
全国平均が上がっても、業種による差は残っている
日本全体のキャッシュレス決済比率が上昇しているからといって、すべての業種・事業者で同じようにキャッシュレス化が進んでいるわけではありません。
経済産業省のキャッシュレス推進に関する検討では、個人経営の飲食店、診療所、クリーニング、理美容など、キャッシュレス利用が相対的に低い領域も示されています。
導入コスト、手数料、既存の業務フロー、利用者層など、キャッシュレス化を進める際の条件は事業者によって異なります。
また、学校、自治体、NPO、BtoB事業者などでは、店頭で商品を購入する場面とは異なり、請求書、月謝、会費、寄付、利用料などを集める仕組みとして決済を考える必要があります。
市場全体の普及率だけでなく、自分たちがどのような支払いを受け付けているのかから考えることが重要です。
キャッシュレス化の焦点は「決済手段」から「業務」へ
キャッシュレス化の初期には、「カード決済に対応する」「QRコード決済を導入する」といった支払い方法そのものが大きなテーマでした。
しかし、キャッシュレス決済が広がった現在、企業・団体にとって重要になっているのは、その前後の業務です。
- 誰に何を請求したのか
- どの支払い方法が選ばれたのか
- 決済は成功したのか
- 入金された金額と請求をどう照合するのか
- 未払い・決済失敗をどう管理するのか
- 返金や取消をどう処理するのか
- 会計・基幹システムへどう連携するのか
といった部分です。
経済産業省が示すキャッシュレスの将来像でも、単に現金を使わなくなることだけでなく、決済に関するデータがシームレスにつながるデジタル社会が目指されています。
決済手段を増やせば便利になるとは限らない
キャッシュレス決済が普及すると、「できるだけ多くの決済手段に対応した方がよい」と考えがちです。
確かに、選択肢が増えれば、支払者の利便性が高まる可能性があります。
一方で、決済手段が増えるほど、事業者側では確認する項目も増える場合があります。
- 決済手段ごとの手数料
- 入金サイクル
- 決済結果の確認方法
- 取消・返金方法
- 未収時の対応
- 会計処理
などが異なる可能性があるからです。
重要なのは「対応数」ではなく、利用者のニーズと運営側の業務の両方を考え、必要な決済手段を選ぶことです。
企業・団体がこれから確認したい5つのポイント
キャッシュレス決済が当たり前になりつつある中で、既に導入している企業・団体も、一度運用を見直してみる価値があります。
- 支払者が利用しやすい決済手段を確認する市場全体の流行だけでなく、自社・自団体の支払者が実際に利用しやすい決済手段を確認します。
- 決済前後の業務を確認する申し込み、請求、決済、入金確認、消込、未収対応、返金までの流れを整理します。
- 決済データの連携方法を確認するCSVやAPIなどを使い、会計・顧客管理・基幹システムなどとどこまで連携できるか確認します。
- 例外時の運用を確認する決済失敗、取消、返金、金額変更など、通常時以外の処理方法を確認します。
- セキュリティと運用を定期的に見直す本人認証、不正利用対策、システムの安全性などを含め、導入後も継続して見直します。
キャッシュレス化の次に考えること
キャッシュレス決済比率は今後も上昇していくことが見込まれ、政府も2030年65%、将来的には80%という目標を掲げています。
ただし、企業・団体にとって重要なのは、キャッシュレス決済比率そのものを追いかけることではありません。
自分たちの顧客、会員、保護者、寄付者、取引先などが、どのように支払いたいのか。
そして、その支払いを受け取った後の業務を、どのように効率化できるのか。
キャッシュレス決済が広がった今だからこそ、「どの決済手段を導入するか」だけでなく、決済を業務全体の中でどうつなぐかという視点が、これまで以上に重要になっています。
まとめ:キャッシュレスを「支払い」だけで考えない
2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%となり、決済額は162.7兆円まで拡大しました。
クレジットカードが金額ベースでは中心である一方、コード決済など複数の支払い方法も定着しています。
一方、キャッシュレスの普及状況は業種や利用場面によって異なります。
企業・団体がこれから考えるべきなのは、「キャッシュレスに対応しているか」だけではありません。
請求、決済、入金確認、消込、未収、返金、システム連携までを含め、支払いに関わる業務全体を見直すこと。
キャッシュレス化を、単なる支払い方法の変更ではなく、業務をよりシンプルにつなぐきっかけとして考えていきましょう。
よくある質問(FAQ)
経済産業省によると、2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%、決済額は162.7兆円です。現在の政府目標では2030年までに65%、将来的には80%を目指しています。
含まれていません。現在の国内指標では、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コード決済が分子となっています。銀行取引については、正確な金額を現在の統計から算出することが難しいことなどから含まれていません。
単純比較はできません。42.8%は従来の国際比較指標で、現在の政府目標に用いる国内指標とは分母が異なります。新しい国内指標による2024年実績は51.7%です。
2025年の金額ベースではクレジットカードが134.6兆円で、キャッシュレス決済額の82.7%を占めています。コード決済は16.6兆円、10.2%です。
必ずしも自動化されるわけではありません。決済情報と請求・顧客情報をどのように紐づけるかによって、入金確認や消込の業務負担は変わります。キャッシュレス化と同時に、決済前後の業務設計を確認することが重要です。

